愛媛ボランティアネット愛媛県 ボランティア
利用規約文字の大きさサイトマップ利用の手引きお問い合わせ
トップへ地域通貨ってなんだろう経験者は語る
地域通貨ってなんだろう


 経験者は語る 

地域社会で、地域通貨を実践している方からの声を集めました。
●「無理なく続けられる、助け合いのしくみづくりを」
〔ゆうゆうヘルプ・波方〕 村上輝久榮さん
●「商業と福祉がドッキング。商工会が取り組む地域の活性化」
〔五十崎榎シール事業事務局〕 北地 信彦さん
●「その場でメニューが作れる柔軟な地域通貨を実践中」
〔ボランティアグループあんき〕 中矢 暁美さん



「無理なく続けられる、助け合いのしくみづくりを」

〔ゆうゆうヘルプ・波方〕 村上輝久榮さん
村上輝久榮さんの写真
【気軽な助け合いの方法を求めて】
波方町は人口約1万、海運と造船、タオル製造を主要産業とする町だ。町内会や婦人会など地縁組織は比較的しっかりと残っているが、高齢化が進み、近隣との付き合いは農家でも薄れつつある。こうした中、平成13年4月、村上輝久榮さんが代表を務める「ゆうゆうヘルプ・波方」は、地域通貨を取り入れた助け合いの活動を始めた。

「私自身、在宅介護をしていた中で、ちょっとした頼みごとや困りごとがたくさんあり、誰かに気軽に頼めたらいいなあと思うようなことがたくさんあったんですね。だから、自分に時間ができたとき、周囲に声をかけたんです、お手伝いしますよって。でも、このあたりでは何かしてあげると必ずお礼の品が届くんです。ついでのことをしてあげているだけなのに、ものを催促しているみたいに思えて、これではいけない、もっと気軽な助け合いの方法はないだろうかとずっと思っていました」と村上さん。

平成12年、地域通貨の講演会を聴きに行き、「これだ」と思った村上さんは、介護活動を通して知り合った仲間とともに勉強会を開始。半年後に「ゆうゆうヘルプ・波方」をスタートさせた。
「月2回、半年間勉強してもわからないこともあったんですが、とにかくやってみようよという声があがって始めたんですよ」。

サービスのメニューも決めず、とりあえず会員間で助け合いをしてみた。どんなことが望まれているのか、実際に行われたサービスはどんなことが多かったのか。細かく記録を残し、コンピュータに詳しいメンバーがパソコンにインプット。集計し、分析してみた。そのデータは毎年蓄積され、利用者数からサービス内容まで、誰が見ても一目でわかる情報として整理されている。

波方町文化祭でお手玉づくりと遊びを指導している様子【写真】
波方町文化祭で
お手玉づくりと遊びを指導

【代表もメンバーも一緒に育ってきた】
「ゆうゆうヘルプ・波方」は30分のサービスに対し、チケット1枚を渡すタイムダラーの仕組みだ。チケットの裏には、誰がいつ振り出したか、名前と日付を書き込むように工夫されている。年度ごとに事務局が1人当たり10枚のチケットを発行し、年度末に事務局に回収している。チケットをあまり使わない人は、よく使う人に寄付してもいい。

グループの名称、ロゴマーク、シンボルカラーなどは、会員みんなで考え投票をして決定した。「してもらいたいこと」「してあげられること」や連絡先、似顔絵などを書いた自己紹介ファイルを全会員に配布し、各自で連絡が取れるようになっている。

組織の体制としては、全体の代表、事務係、会計係のほか、町内を4つの地区に分け、それぞれに地区世話人2名を配置。地区世話人は、コーディネーター的な役割をこなす他、地区ごとのイベントの企画も含めた事務局的役割を果たしている。会員間の連絡はメーリングリストを活用するなど、最新の情報技術も導入。パソコン技術の習得に行政の支援制度などを積極的に活用している。

こうした仕組みや体制を一から作り上げてきたわけだが、リーダーとして村上さんはどのような姿勢で関わってきたのだろうか。

「私が言い出しっぺだから代表になっているだけ。地域通貨を始めてみようと思ったとき、同様の思いを持った仲間が何人かいて、みんなで一緒に育ってきたんですよ」。

「代表だからといって、自分だけですべてやってしまおうと思わないことですね。人に任せるということがとても大事。去年、総会の時期に病気をしたんですが、他の方たちにお願いして無事乗り切れました」。

恥も外聞もなく、人にお願いできるのが私の能力と笑う村上さんだが、人に任せるためにも、情報を一人で抱え込まないように工夫している。今までの経緯がわかるように資料や作成した印刷物をまとめたファイルはすでに数冊。全国各地から研修や取材を受け入れているが、そうした際には新会員にも同席してもらい、会への理解を深めてもらう。常に複数の会員で情報を共有するようにしている。「ファイルを見れば、会のことは誰にでもわかる。今すぐにでも代表をバトンタッチできます」と村上さんは笑う。

4つの地区に分けそれぞれに世話人を置くのも、会員に主体性を持って会を運営してもらうための工夫のひとつでもある。「続けていくということが大事。代表者がいなくなったからおしまいとなってしまったのでは何にもならない」。

メンバーに役割と自覚を持たせ、情報を共有し、積極的に会の運営に参加してもらう。リーダーとしての村上さんは、その点に心を砕いている。

スタートから4年目に入り、軌道に乗って楽になってきましたと村上さん。当初は約30名だった会員も、現在は58名(平成16年6月)と年々増加。町内での認知度も高くなってきた。


「会員以外の地域の人も助け合えるといいなと思い、平成16年4月から月に1回『遊び場まいどサロン』というのを始めました。これは地域の人なら誰でも参加できる遊びの場。地域通貨を始めた目的である『地域での助け合いの実践』を見失わないように、会員以外の人たちへの声かけも積極的に行っていこうと思っています」。

地域通貨を使いこなして、助け合いのシステムが波方町で花を咲かせようとしている。




「商業と福祉がドッキング。
商工会が取り組む地域の活性化」

〔五十崎榎シール事業事務局〕 北地 信彦さん
北地信彦さんの写真
【生き残りをかけて商店会で話し合い】
大凧合戦のまちとして知られる五十崎町。この山間の小さな町にある商店では、シール事業と地域通貨を連動させたユニークな事業を行っている。

「地方の商店にとって、非常に厳しい状況が続いています。生き残るにはどうしたらいいか。父が代表を務めていた天神商店会(現在は休会中)では、10年ほど前からそのことをずっと話し合ってきました。その結果、商店会の理念を『暮らしにやさしいまちづくり』『暮らしにやさしい店づくり』とし、福祉を絡めた商業界隈づくりを進めてきたんです」と五十崎榎シール事業事務局代表で、きたち酒店の後継者である北地信彦さんは語る。

「配達のついでに用事を頼まれたり、犬の貰い手を探してなど、地域と密着した商店ほど、それぞれに昔からいろいろな顧客サービスをしてきた。これをつなげてシステム化すれば地域福祉に繋がるのでは、と考えたんです」。

天神商店会では地域を活気づけようと、映画祭、七夕祭り、春と秋の青空市などのイベントを開催。その一方で、商業者だけでなく外部からの視点も必要と考えて商工会に相談。そこで組織された界隈づくり委員会と一緒に、東京や京都、愛知、大分など各地で行われているシール事業や福祉事業などを次々と学んでいった。その中から、タイムダラーとスタンプシールを組み合わせるアイデアが生まれた。

「榎シール丸8ループの法則というシステムを考えついたんです(資料P52参照)。最初は戸惑いや迷いもありました。既存団体がいろいろあるのに、こんなことをしていいんかなあと」。

五十崎町の老舗蔵元・亀岡酒造の9代目社長で、NPO法人タイムダラー・ネットワーク・ジャパンの理事でもある亀岡徹さんの「いろいろあれば、消費者が自由に選ぶことができる。いろんな仕組みがあったらいいんです」の一言に気が楽になったという北地さん。亀岡さんをはじめ、地域づくりに熱心に取り組む先輩たちの助言や激励が、若い北地さんを支えている。

山本慎司さんと榎シールの写真
【写真】
店主 山本慎司さん

【榎シールへの理解を深めるのが課題】
榎シール事業の仕組みはこうだ。消費者が加盟店で買い物をすると、100円に付き1枚の榎シールがもらえる。これを350枚集めると500エコ(100エコ5枚綴り)のサービス券と交換できる。このサービス券で加盟店が提供するさまざまなサービス、たとえば小荷物運搬、庭木の剪定、裁縫、毛筆の代筆、買い物代行などが受けられる。またサービス券は、協力店での買い物にも使うことができる。100エコサービス券で100円。つまり、エコサービス券は非市場経済と市場経済の両面を持った地域通貨で、そこに大きな特徴がある。現在、加盟店は15店舗、協力店は37店舗となった。

「平成11年11月にスタートしましたが、金券として使用するお客さんがまだまだ多いですね。地域の道具として定着するのは時間がかかると思っています。サービスを提供する加盟店側も、一方的に提供するだけでなく、自分たちも利用してみることが必要だと思い、『してもらいたいこと』のリストアップ作業にとりかかるつもり。まずは、自分たちが使ってみなくちゃいけんよね」。

サービスの利用を広げるために、シール事業の内容やエコサービス券の使い方を書いたチラシを作って、新聞折り込みで配布するなどもしている。また、もらったまま使われずにいる榎シールを寄付してもらい、小学校に図書を贈る運動も実施している。これが広まれば、榎シールが単なる割引シールではないことがわかってもらえるのではないかと北地さんは話す。理解を深めるための広報が、今一番の課題なのだそうだ。

【運営にも地域通貨の考えを応用】
商業と福祉。一見、結びつかないような活動に取り組んでいる北地さんだが、「地域に根ざして生きる人がいなければ、地域は活気づかない。活気のない地域は、住む人が幸せになれない。地域内の経済の循環をよくすることは、地域内のコミュニティーの再生を促し、人の暮らしがよくなっていくということ。そういう信念で取り組んでいるので、矛盾はしません。

もちろん、本業でも専門性を発揮し、よその店には負けない店づく
りが必要です。僕はたまたま商いを生業とする環境に生まれ育ったんで、商業に馴染みがある。僕を育ててくれた五十崎という町も好き。愛着のある商業を通じて、大好きな五十崎が活気ある町になったらとの思いで活動しています」と迷いはない。

多忙な本業との両立の秘訣は、「無理をしないこと」。「中心となる人には、どうしてもウェイトがかかる。何もかも引き受けてしまっては、疲れてしまう。自分ができないことや苦手なことは、得意な人に任せる。これがコツ。絵が好きな人がイラストを描く、パソコンができる人が書類を作る、フットワークの軽い人に連絡係をしてもらうというように、タイムダラーの考えである『できることをできる人がする』を取り入れて運営しています」。

これから地域通貨をと考えている人は、まずは気軽に始めてみればいいよと北地さん。ただ、何のためにするのか、何で必要なのかを中心となる人たちはよく話し合って、見失わないようにしなければいけないとも話す。

今後はエコサービス券を使って、子どもたちを対象としたワークショップなども開催していく予定で、現在、夏休み親子手打ちうどん教室を企画しているところだとか。

「五十崎にはモノづくりの文化が残っている。子どもたちに、モノを作る楽しさを知ってもらいたい。モノが作れれば産業を興せる。産業が生まれれば地域が活性化するんです」。地域の活性化という大きな目標に向け、商業者にできることは何か。その課題に向け、仲間と共に懸命に取り組んでいる。




「その場でメニューが作れる柔軟な地域通貨を実践中」

〔ボランティアグループあんき〕 中矢 暁美さん
中矢暁美さんの写真
【自分が受けたい介護を形にしよう】
「あー、そんな格好で寝よったら、体が痛くなってしまうぞよ」。
ソファに座ってうたた寝しているお年寄りに中矢さんが声をかけ、布団を持ってきた。ソファの隣りに敷き、体を持ち上げ移動させる。長年の住人のようにしっくりと座敷の片隅に納まって、お年寄りは再びまどろみ始めた。

中矢さんが立ち上げた託老所「あんき」は、本瓦葺きの入母屋造り、堂々とした構えの昔ながらの日本家屋を利用している。玄関先には金魚が泳ぐ瓶、軒下で揺れる風鈴、室内に飾られた着物や人形など、「あんき(“気楽”を意味する松山弁)」という名前のとおり、訪問者の心をほっとさせる懐かしい佇まいの一軒家だ。お年寄りにとって、自分の家のように安らかであんきに過ごせる場所にしたいという中矢さんの思いが、この家には込められている。

中学卒業後、小児科医院の看護婦となった中矢さんは30代半ばから松山市の登録ヘルパーとして活躍。その後、障がい者授産施設、特別養護老人ホームで看護婦として勤務した。

ヘルパー1級の研修で施設実習を行ったとき、初めて見た機械浴というものに衝撃を受けた。流れ作業的に次々と風呂に入らされる老人たち。果たして気持ちがいいんだろうか、怖くないのだろうか。この疑問は中矢さんから離れず、その後に勤務した特別養護老人ホームでは実際に自ら体験もしてみた。結論は「やっぱり、怖い」。

介護の現場で働きながら感じたことは、大きな施設にも利点はあるが、一人ひとりに合わせたきめ細かいケアは、少人数でないと難しいということ。そして、住み慣れた地域で最期まで過ごせるのが幸せなのではないかということ。自分が入りたいと思えるような施設がないのならば、自分で作るしかない。その思いが、1997年3月、託老所「あんき」の誕生となった。

ボランティアグループあんき外観の写真
【写真】
ボランティアグループあんき外観

【地域通貨で異世代交流の拠点づくり】
お年寄りの憩いの場として、介護者の救急センターとして活躍している「あんき」だが、その活動にボランティアとして関わってくれる人が大勢いる。

「地域通貨の勉強会に出て、お互いが助け合うシステムだというのを知ったとき、『あ、これ、うちでできていることじゃないの』と気づいたんよ。地域通貨を取り入れればそれがわかりやすい形になる、気をつかわなくてもいいシステムになるなあと思い、始めてみようかと」。

「あんき」がお年寄りだけが集まる場所ではなく、地域の支え合い助け合いの拠点になればと地域通貨を始めた。30分のサービスを1点と換算するタイムダラー方式を採用。近くにある今津という海岸の小石をイメージして、きれいな小石にステッカーを貼ったものが通貨の『いまづ』で、サービス1時間につき1個の『いまづ』と交換する。

「カラフルできれいな小石なもんだから、飾っておくという人もいてねえ」と中矢さん。それもいいかと屈託がない。

メニューは日常の助け合いが主だが、習字の指導、紙芝居の上演といったことも対象となっている。「あんき」で習字を教えている先生は自身も高齢の一人暮らし。「あんき」で教えることが先生自身の生きがいにもなり、手助けともなっている。また、「いまづ」は、お年寄りと子どもたちとの交流にも一役買っているという。

「ボランティアで来てくれた小学生で熱心な子たちには『いまづ』を渡しているんよ。たとえば、子どもたちがここに来てお年寄りと一緒に料理をして包丁の使い方を教わったら、子どもたちからお年寄りへ教えてくれてありがとうと1個渡す。お年寄りも役に立ってうれしい。こんなふうにその場でメニューを作って、受け渡しもできる。かなり柔軟な使い方をしているんよ」。

年に2、3回、地域通貨でも買い物ができるフリーマーケットを開催しているが、こんなとき子どもたちが家族をつれてきてくれている。地域通貨は、人が人を呼んでくれると中矢さん。

「会員にならなくてもOK。お年寄りと交流し、自分の老後を考えてくれるだけでもいい。そこから始まるのやから」。

そして2003年4月、「あんき」に加えグループホーム「こんまいあんき」も立ち上げた。ここの縁側を使って「地域の縁側づくり」を進めている。

「昔は、縁側に近所どうしが集まっておしゃべりしたり、お茶を飲んだりしたでしょ。誰もが気軽に立ち寄れて、世代を超えて交流できる、そんな場所にしたいんよね」。

この「地域の縁側」を拠点とし、地域通貨を活用して、助け合い支え合いの輪を広げていこうと中矢さんは考えている。

【やってみようと思ったときがスタートのとき】
抜群の行動力で自分の理想を形にしてきた中矢さんだが、その過程で迷ったり、落ち込んだりすることはなかったのだろうか。

「ありますよ、そんなことしょっちゅう。でも、私の悩みをさりげなく聞いて受け止めてくれる人がおってね、助けてくれるんよね。それと不思議とね、こうしたいなと思うことを周りに話していると協力してくれたり、助けてくれたりする人が集まってくるんよ。それで進むことができるんやね」。

解決できないことはすっぱりあきらめる。やってみようと思ったときが旬、やれるところから始めてみる。そうすると協力してくれる人が必ず現れるよ、と中矢さんはいう。

「絶対に失敗したらいけない、成功させようと思わないことも大切。失敗してもいいじゃない。それまでの過程を大事にすればいいんだから」。

「地域の縁側づくり」も、水がじわじわ浸透していくように地道に少しずつ、でもしっかりと広がっていけばいいと話す。

地域通貨を取り入れた地域での支え合いを行うグループがあちらこちらにでき、そのグループ同士でネットワークを組んでいけたらとイメージする中矢さん。持ち前のバイタリティーでそれを実現させる日もやってくるに違いない。




 地域通貨とは Q&A
 県内の地域通貨団体
 経験者は語る



〒790-8570 愛媛県松山市一番町4丁目4-2
愛媛県(法人番号1000020380008)
 県民環境部男女参画・県民協働課
TEL: (089) 912-2305 FAX: (089) 912-2444
Mail:danjokyodo@pref.ehime.lg.jp